冷たい水の底に沈んだ悟は、一命を取り留めたが重度の昏睡状態に陥ってしまう。彼が目覚めた2003年までの15年間に、一体何が起こっていたのだろうか。
悟を15年もの長きにわたって看病し続けてきた佐知子は、北海道から首都圏に居を移していた。毎日4時間を掛けて身体のケアをし、2000年からはEMS(electric muscle stimulator:電気的筋肉刺激器)を使って悟の目覚めに備えていた。さらに入院費や自宅療養費を稼ぐため、働き詰めだったようだ。悟のためだけに生きていた15年だったといえるだろう。
悟の姿に感銘を受け「正義の味方」になりたかったケンヤは、この15年の間に弁護士となっていた。澤田と行動をともにしていたようだが……。
雛月は医者を目指しているヒロミと結婚し、杉田加代となっていた。さらに子供も生まれており、幸せを噛みしめていい状況だった。だが実際は「悟を置き去りにしているのでは?」という思いを捨てきれず、悩んでいたようだ。
北海道を後にした八代は1998年に結婚して婿養子に入り、姓を西園と改めていた。彼の義父は市議会議員を務めていたが、2000年に他界。その地盤を引き継いだ八代が、市議に当選したのだ。同じタイミングで下の名前も読みやすいように「まなぶ」と変えている。